朝5時半に駅前バスターミナルに着く。町を飾るのはキリル文字。何が書いてあるんだかまったくわからない。しかしキリル文字はこのさき断続的にモンゴルまでお世話になる。なんとか覚えなければ。ラテン・アルファベットの文字と大体1対1の対応関係があるので、その対応関係を覚えてしまえば変換ができる。ただキリル文字のPがラテン文字のR、HがNなど、まったく同じ形の文字が違う文字に対応していたりしてややこしい。
バスターミナルの隣はソフィアの鉄道中央駅。町が動き出すまで駅の待合室で待機。予想に反して駅構内にFree Wi-Fiが飛んでいる。これは助かる。朝6時に駅の荷物預かり所が開いたので、スーツケースを預ける。ソフィア中央駅はどうも治安が悪いらしく、怪しい格好や目つきをした男たちがうろうろしている。何をしているんだ、どこへ行くんだ、などと声をかけられるが適当にあしらう。
次の都市ルーマニアのブカレストまでの切符を買おうと窓口に並ぶが、国際列車は切符売り場ではなく駅構内にある旅行会社から切符を買わないといけないと言われる。駅の端にその旅行社はあった。リラ社。開店は7時からか。しばらく待って切符を入手。トルコもそうだったけど中欧は鉄道の切符が安い。これではレイル・パスを使っても元が取れないな。パスの有効日数を少なめにしておいてよかった。
リラの僧院へのバスは、ソフィア中心部から東に外れたバスターミナルからの発車。そこまではトラムを乗り継いでいく。ソフィア駅前から7番のトラムに乗り、5番と交差するところで下車、そして5番に乗り15分ほど。ブルガリアは今までの国と較べて圧倒的に英語をしゃべる人が少ない。キリル文字のミステリーとあいまってどこでトラムを降りていいのか知るのにえらく苦労する。けっきょく、地図と車窓をにらんで較べながら、それっぽいところで降りたところ、どうやら当たったようだ。
リラの僧院行きのバスは11レイ、運転手に直接払う。一緒に列に並んでいた中国人と思しき人に話しかけると、こちらのリュックに刺さった「地球の歩き方」を見て、「あ、日本人の方ですか?」と来た。なんと、こんなところで日本人に会うとは。彼はかなり経験値を積んだ旅人のようで、過去2回、リラの僧院に自力でレンタカーで行こうとしてたどり着けず、今回はバスを使っての3度目の挑戦なのだとか。この先旧ユーゴに行くという話しをすると、去年ユーゴを一周したという彼は「ユーゴはいいですよぉ。特にコソボが面白いですねぇ」。さすがに現在進行形の紛争地域に行くほど度胸が無いので今回はコソボは行けないが、参考になる話をたくさん教えてもらう。紛争の生々しい傷跡を見たいならモスタルに行くといい、とかプリトヴィツェ湖国立公園は是非おすすめ、とか。聞いた話を元に後で旅程を調整しよう。
ソフィアを発ってバスに揺られること3時間、リラ村についた。ここで30分休憩して、僧院へはここからさらに30分ほど行くのだそうな。休憩、といっても小さな雑貨屋以外何も無いのだが。再びバスに乗り込み、山間の道を走る。これまで海ばっかりだったので山の景色が新鮮だ。バスはどんどんと山の深くに入る。醸し出される秘境感。これぞ求めていたものだ。僧院は山の一番奥深くにひっそりとあった。帰りのバスは15:00発、2時間ほど時間がある。さっそく門をくぐって中に入ると、西洋とも東洋ともつかない神秘的な光景が広がっていた。
ここはブルガリア正教の総本山。僧院の壁や天井には聖書の各場面や聖人を緻密にかたどったレリーフが飾られている。これが正教会の特徴、イコンというやつか。1時間ほどかけてじっくり僧院を堪能する。僧院の裏手には小さな土産物屋が数軒とレストランがあった。先ほどの日本人旅行者氏が朝からカロリーメイト1つしか食べてないと言うので、レストランで昼食をとることに。観光地らしくメニューには英語が併記されていた。キリル文字にまだ慣れてない身には正直助かる。ウェイター君のお勧めに従い、僧院の近くの渓流で取れるのだというニジマスのグリルと冷静スープ、それと地元のお酒ラキヤを頼む。
旅行者氏は今回の旅でルーマニアとブルガリア、ハンガリーを回っているらしいが、去年のユーゴ一週旅行に較べてどうにも刺激が少ないので、ウクライナに行くことを考えているそうな。なんでもウクライナのキエフ近くにチェルノブイリ原子力発電所があり、今まで外国人には閉ざされていた事故区画が今年から解放されているんだとか。それは是非とも行ってみたい。キエフでは丸2日あるから、1日をチェルノブイリ訪問に充てよう。
バスの時間ギリギリになってようやく運ばれてきたマスは、「これほんとにニジマス?」というくらい馬鹿でかかった。しかし味は本物。久しぶりの川魚、実に旨い。もうひとつ、冷静スープはなんとヨーグルト味だった。さすがブルガリア。これはこれでさっぱりする。
帰りはリラ村でバスを乗り換えさせられた。ところがこのバス窓が開かない上に冷房が効かない。ブルガリアの西日に照らされ車内は地獄のような暑さになる。乗客はみんなへばるような顔つきで我慢し、ようやくソフィアに戻る。暑かったので長く感じたが、帰りのバスは高速を使って飛ばしてきたらしく、5時過ぎにはソフィアに着いた。ブカレストまでの列車は8時過ぎ、ソフィア市内を観光して回る時間もありそうだ。ソフィアはもう4回目だという件の日本人旅行者氏に案内してもらい一通り回る。最後まで名前を聞きそびれてしまったが、彼にはお世話になった。
ブカレスト行きの列車は最終的にはモスクワまで行く。乗客もロシアまで行く人が多いようだ。寝台の同じコンパートメントになったのは、ロシア人のおばちゃん。このおばちゃんの話すことは99%理解できないが、なんとなく判ったところによると、普段はギリシャに住んでいて今回里帰りでロシアに戻るんだとか。言葉は通じないがおばちゃんはとても親切で、寝台のベッドメーキングまでしてくれた。発車までの時間でトイレを使おうとすると、車掌にものすごい剣幕で止められた。そうか、この車両のトイレは垂れ流し式だから街中では使えないのだ。仕方ないので、いったん駅の建物に戻り、有料の(といっても大してキレイではない)トイレを使う。ブルガリアのトイレは和式便所のように床に穴が開いているだけ。欧米人がトイレの個室のドアを開けた瞬間に困惑して固まっている場面にたまに出くわす。
車両に戻りほどなくして、列車はゆっくりと動き出した。予定ではまた夜中にパスポートコントロールがあるはずなので、早めに就寝。
<本日の1枚: リラで会った日本人旅人が持っていたマスコットと一緒に>
発見!
返信削除こんばんは。
「2011年7月 ソフィア リラの僧院」で検索かけて、見つけました。
あたしゃ中国人に見えますか…どうりで、どこに行っても「チャイナ」と言われるわけです。(涙)
こちらも、名前を聞きそびれてしましましたが、ブログのお話をされていたので、検索かければ何とかなると思っていました。