マドリッドでは大したこともできなかったけど、昨晩夜の街を歩いてなんとなく雰囲気は感じられたので、まあよしとしよう。今日はバルセロナに移動の日。ホテルチェックアウト前に近くのカフェに出かけて、スペイン名物のチュロスとホットチョコレートで朝食。朝から脂っこいかと思いきや、おいしくてさくさく食べてしまった。
バルセロナへは高速列車のAVEで3時間の旅。今回の旅では夜行で10数時間という移動が多いので、それと較べるとあっという間だ。プラットフォームに降りる前に、飛行機みたいにX線の荷物検査と金属探知ゲートの通過がある。以前列車の爆破テロがあったから、それからセキュリティが強化されたんだろうか。座席は全席指定なんだが、ヨーロッパの車両というのは座席の向きが固定されていて動かせない。ターミナル駅ごとに進行方向が変わったりするので、気にしていてもしょうがないということなんだろうが、今回はちょうど席同士が向かい合った場所になってしまった。テーブルを挟んでこちらに向くのは地元民らしき品の良さげな老夫婦。自分の隣にはバックパッカー風旅行者。それぞれの雰囲気が違いすぎてちょっと落ち着かない。1等車なので食事のサービスもあるのだが向かい合ったまま黙々と食べる4人。
バルセロナのサンツ駅に着く。昨晩予約したホテルに移動する前に、明後日マルセイユに移動する列車の切符を買ってしまおう。窓口は当日分、国内前売り分、国際前売り分に分かれている。国際前売りの窓口は、日本の銀行のように整理券を取って呼ばれるのを待つ仕組み。電光掲示板に表示されている現在の呼出し番号は280番くらい。整理券発行機のボタンを押すと、出てきた券には580と書いてある。...??? 何か間違えたかな? サービスの内容によって番号の大台が違ったりするのはよくある話だ。銀行でも預金は100番台、ローンの相談は500番台とか。しかしこの窓口の機能は前売りチケットを売る、という1つしかない。近くにいたじいさんをつかまえて聞くと、この番号が呼ばれるまで待つんだと。300人も待つのか...。窓口は10個以上あるが、そのうち稼動しているのは3つくらい。しかも一人ひとりの処理にすごく時間がかかっている。周りを見ると、みんな地べたに座り込んで疲れた顔をしながらじーっと待っているのだ。
腹を決めた。待とう。これが明日になっても窓口が空く保証は無いし、また駅に戻ってくるのも面倒だ。オンラインでの予約も出発前に試みたが、ユーレイル・グローバル・パス利用者向けの予約はWebサイトに機能はあるのになぜかオンラインではできなかった。荷物を置き、床にどっかりと腰を下ろしてバルセロナ観光の予定など立てながらすごす。...しかし遅い。一向に番号が進む気配が無い。整理券を取ってからもう1時間以上たつが、まだ番号は300番台の前半。いつになったら順番が回ってくるのか...。いったんホテルに行ってチェックインを済ませてから戻ってこようとも考えたが、よく観察していると番号が呼ばれたときに即座に反応しないと容赦なく飛ばされている。あまり長時間ここを離れるのも危険か。
だらだらと待っていると、アジア系の女の子2人組に声をかけられる。彼女たちの番号はもう一周して000番台に戻っているらしい。自分よりさらに500人後か。あなたの順番が回ってきたときに一緒に買わせてもらえないかとお願いされ、まあいいかとOKする。2人はUKの大学に交換留学に来ている韓国の大学学部生で、ちょうど交換留学の期間が終わって旅行をしているのだとか。旅行期間はなんと88日。世界一周できますなぁ。明日ニースに移動だそう。
韓国人大学生はひとりが国際関係専攻で外交官志望、もうひとりが化学専攻で高分子ポリマーの研究をしているとかで、日本人の自分を合わせた共通の話題ということで、日本の紙オムツに使われる吸水ポリマーを使った発展途上国の砂漠緑化活動の話でなぜか盛り上がる。
待ち始めて4時間以上経過。やっとのことで番号が呼ばれる。最初に韓国人大学生の方のチケットを処理してもらう。その後、「彼女たちとはちょっと旅程が違うから」と言いつつ予約が必要な列車の列車番号, 区間, クラスなど書いたノートとユーレイルパスを見せる。窓口の男はなにやらわめいている。曰く提示した列車にフランスの列車が含まれている。自分は公式にはその列車の予約を取ってはいけないことになっている、と。なんでお前はそんな要求をするんだと言わんばかりに、なぜか初っ端からケンカ腰な態度。いや、確かに提示したリストにはスペイン国内の列車と、そこから接続するフランスのTGVが含まれている。ただそれはフランス国境手前まで行く列車との連絡列車みたいなもので、乗換駅でまた窓口に並んでいるような時間は無いのだ。それにフランスの列車でも発駅はスペイン国内。発券出来ることは事前に確認済み。なんとかしてくれよ。
男は怒ったように端末をたたき、座席指定券を発券した。ところが確認してみると、中身がめちゃくちゃ。日付も区間も等級も自分が紙で提示したものと違う。たまたま前の韓国人と似たルートだったので、それと同じと勘違いして発券したようだ。まず彼女たちとは旅程が違うんだということを改めて伝え、ノートに書いてあるとおりに訂正してくれと頼む。男はまた怒ったように端末をたたき、新しいチケットを投げてよこした。...また違う。1st Class / Primera Classeとわざわざ英語でもスペイン語でも書いてあるのに、2等車の券を出してきた。違う違う、1等車だと。ユーレイルパスも1等のものだろと。すると男は完全に逆ギレしたようで、「そっちの2人のパスには2等車と書いてあった。それは見たけどあんたのパスは見てない!」とわめき始める。
これにはさすがにカチンと来た。仕事がのんびりしてたり適当だったりするのはラテン人の血のなせるわざだし、自分もそういうところが嫌いではないから別にいい。「ごめんよアミーゴ。ちょっと直すから待っててくれあっはっは」とでも言ってくれれば全てを許そうという気にもなろうというものだ。しかし自分の適当な仕事が原因で発生した手間について客に怒るというのは何事だ。「ふざけるな! パスの内容を一人ひとりちゃんと確認するのはあんたの仕事だろうが。それに欲しい切符の内容は全部この紙に書いてある。それをろくすっぽ見もしないで適当に発券しておいて何を怒っていやがる。字も読めないのか、このトンチキが!! こんなことだから窓口の処理にこんなに時間がかかるんだ!」、と後から考えればちょっと大人気ない怒鳴り方をしてしまった。窓口の男が再び投げてよこした切符をひったくるようにつかみ、窓口を後にする。男はなおもなにかわめいているが、もう関わりたくない。
ちょっと離れたところで、例の韓国人大学生2人が待っていた。申し訳なさそうな顔で、「私たちのせいで混乱させてしまったみたいで...」と言ってくる。確かに同じようなルートで二付けと等級が違ったのはわかりにくかったかもしれないけど、窓口の男の態度はそれ以前の問題、気にするこた無いよと言い、最後に名前を名乗りあって別れる。が、頭に血が上っていたせいか、2人の名前は忘れてしまった。
窓口の男の仕事は客の求めに応じて切符を売ること。彼は確かに切符は売った。しかし同時に最悪の顧客経験も売ってしまった。これを以って、果たして彼は仕事をしていると言えるのか?
気を取り直して地下鉄でホテルに移動しチェックイン。シャワーを浴びて一休みした後、町歩き開始。日暮のランブラス通りなどを一通り歩き回った後、夜遅くまでやっているタパスでおひとり様居酒屋状態で呑んだくれて帰る。
<本日の1枚: バルセロナ・サンツ駅で待ちぼうけ>
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