朝メールを確認すると、リスボンのホテルから「荷物はパレルモのホテルに送った」とメッセージが届いていた。パレルモへの滞在予定は7月10日。中4日あるので、リスボンからバルセロナまでと同様48時間以内に着くのなら間に合うはずだ。ただどうかな。バルセロナと違ってパレルモはリスボンから飛行機が頻繁に飛ぶような場所ではないし、なによりポルトガル、スペイン、南イタリアとだんだん登場人物のテキトーさ加減が増しているのも気になる。ちゃんとパレルモのホテルに届く確率は五分五分といったところか?
ホテルをチェックアウトし、地下鉄に乗ってサンツ駅へ。駅構内のカフェで朝食をとり、発車時間の15分ほど前にプラットフォームに下りる。また例によって、プラットフォームに下りる前にチケットの確認と荷物のX線検査がある。フランスとの国境のFigueres Vilafantへの列車はすでに入線していた。ところが、大きな荷物を抱えて乗り込むと車内がめちゃめちゃ狭い。この列車には2等車しか連結されていないので、1等のパスを持っていても2等車に乗るしかない。荷物置き場も小さく、スーツケースをおける場所を探すのに一苦労。このリゾート真っ盛りの時期に南仏へ連絡する数少ない列車とあって、車内は満席みたいだ。1時間半ほど席で身動きせず過ごす。
Figueres Vilafantでは向かい側のホームにフランスのTGVが待っていた。FigueresにはFigueres駅とこのFigueres Vilafant駅があり、こちらは主にTGVへの連絡用に使われているようだ。スペインとフランスでは、線路の幅が違うので、フランスの車両はここまでしか入ってこれない。バルセロナや他のスペインの都市への直通列車は走れないので、ここで乗り換える必要があるわけだ。TGVの車内は、さすがにゆったりとしていた。先ほどの列車の客の大半は2等車に乗ったようで、1等車にはそれほど客が乗っていない。椅子に体を落ち着けると、まもなく列車は静かに動き出した。
このTGVの列車はパリ行き。マルセイユやニースに行くには途中で降りて乗り換える必要がある。切符はニームという駅まで買っているが、もともと乗ろうとしていた昼の便と違いこの朝の便ではニームからの接続が無いので、手前のモンペリエで下りる。ここからはTeozという急行列車のニース行きに乗ればマルセイユを通るはず。モンペリエで下車した後いったんチケットオフィスに行く。Teozは全席指定なので、乗るには座席の予約が要る。窓口のおばちゃんに希望を言うと、なんとTeozはもう満席で、2時間後の鈍行列車で行くしかないとの話。うーん、本当だろうか? 実は各列車にはユーレイル・グローバル・パス等のパス利用のための座席枠というのがあり、これが一杯なってしまうと、他に座席があっても予約ができなくなってしまうのだ。実際、30分くらいしてホームにやってきたTeozの車両を見ると、けっこう空き席がある。なんにも知らないふりをして乗ってしまおうかとも考えたが、あとあと面倒なことになってもいやなので、言われたとおりモンペリエの町で鈍行列車を待つことにした。
鈍行列車は冷房が効いておらず、蒸し風呂状態の車内で汗だくになること2時間。17時半過ぎにマルセイユに到着。ホテルで洗濯などしながらしばらく過ごす。
町に出てぶらぶらと歩く。実はマルセイユはフランスの中でもけっこう治安が悪い。しばらく歩いていると、後ろをつけてくる男に気がついた。ジプシー風の身なり。いくつか路地角を曲がっても一定の距離をとりながらずっとついてくる。人ごみの中に立ち止まったときにでも、デイパックの中身をスッてやろうという魂胆だろう。分かりやすい泥棒だ。いくつか角を曲がった後に男の正面に振り向きじっと眼を見つめてやる。5秒くらいののち、男は決まり悪そうにそそくさと去って行った。
もともとマルセイユは、明日のチュニスへのフェリーに乗るための立ち寄り場所でしかなく、大して観光もする気がなかった。個人的な好みだけれども、自分はどうもフランスという国にあまり魅力を感じない。マルセイユやニースなどの南仏はそれほどでもないが、特に7年前にパリを訪れた時には、なんか言いようの無い居心地の悪さを感じた。なぜだろう、と考えてみる。思うに自分がどこか別の国の町並みや文化に惹かれるときは、「機能美」というのを求めているのかも知れない。何らかの必要性があってその機能がだんだんと洗練されて進化した姿、そこに魅力を感じるような気がする。そこにくるとフランスは、「美」はあるけど「機能」が無い。いや、「美」の部分が発達しすぎて「機能」を置き去りにしてしまったというべきか。建物も文化も食も言語でさえも、なんか「虚飾」であるような気がしてしまう。(フランス好きの皆様、ごめんなさい。あくまでも私見なので…)。 逆にロンドンとかニューヨークとかの都市の場合は、「機能」はあるけど「美」が無い。こちらもそんなに好きではない。
さんざんフランスを評してみたものの、なんだかんだ言ってせっかくマルセイユに来たからには名物のブイヤベースを食べてみようと言うことで、8時過ぎに日暮れも近くなってから地元でも有名らしいレストランへ。値段は「魚のごった煮の癖に…」と思ってしまうほど高いが、味はやっぱりうまい。固いパンにニンニクを塗りつけたものを投入しながらスープと魚を食べるのだが、ニンニクの香りと魚の出汁が絶妙だ。うまいものは何事も正当化する力がある。
<本日の1枚: 日暮のマルセイユ旧港>
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